限定承認に関わる税について
相続人が限定承認を行った場合、被相続人の負債については、プラスの財産(相続財産)の範囲内でのみ弁済することになります。また、弁済を終え、その時点でプラスの財産が残っていれば、それを相続することが出来ます。この説明だけでは、限定承認はとても便利で、相続人にとって利益しかないものだ、と感じる方もいるかもしれません。
しかし、限定承認の手続きは大変難解であり、また、税務の関係上、限定承認をしたことで相続人が損をするケースもあります。なので、ここでは限定承認に関わる「税」を中心としたお話をさせていただきます。
限定承認における譲渡所得について
限定承認を行った場合、被相続人に対し「みなし譲渡所得税」が発生します。
これは、限定承認をした場合、被相続人の財産は相続人に対し、被相続人から時価で譲渡した、ものとして扱われるためです。相続財産中に不動産など譲渡所得の課税の対象となるものがある場合には、被相続人に対して譲渡所得の課税がされ、相続人はその譲渡所得税についても相続することとなります。
購入した時よりも値上がりした不動産や株がある場合に限定承認をすると、「時価-購入時の金額」が譲渡所得として扱われ、被相続人に対して譲渡所得税がかかります。
このような場合、相続人は準確定申告を行い、被相続人の所得税の申告及び納付をすることが必要になります。
譲渡所得税と限定承認
被相続人に対しての譲渡所得税はマイナスの財産として扱われます。
そのため、限定承認を行った場合には、プラスの財産の範囲内でのみ、譲渡所得税を納付する必要がありますが、プラスの財産を超過した譲渡所得税については、納付の義務が発生しません。
終わりに
限定承認は、被相続人がプラスの財産より、マイナスの財産を確実に多く持っている場合に、相続人が損をしない制度と言えますが、しかし、被相続人がマイナスの財産より、プラスの財産を多く持っている場合については、所得税の分だけ損をすることが考えられます。そのため、限定承認をするかについては慎重な判断が必要です。
限定承認についてお悩みの方は、まずは、お気軽に和歌山相続遺言まちかど相談室にご相談ください。相続の専門家として、親身になって相談内容をお伺いいたします。
※限定承認については、税務も深く関わってくるため、専門の税理士と協力し、手続きを進める場合もございます。
限定承認とは?について
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当事務所代表、司法書士・行政書士 井口が「生前対策まるわかりBOOK」に和歌山の専門家として紹介されました。